沖縄戦を学ぶことができる観光施設3選!!【地元の人が選んだ】

歴史・パワースポット

国内旅行に人気の沖縄県、異国感じる街並みや美しい自然、また独自の文化で作られた美味しい料理など魅力溢れる観光地です。

しかしそんな魅力を持ちながらも、沖縄は第二次世界大戦で多くの犠牲が生まれた戦地でもありました。『沖縄戦』と呼ばれるそれは民間人を多く含む18万人以上が犠牲となり、沖縄の人達にとっては決して忘れられない苦しみであると同時に、県外の人達も同じ日本人として知っておくべき惨劇です。

そこで今回は沖縄県内にある「沖縄戦」をテーマとしている施設、沖縄戦を学べる施設3選をご紹介していきます。

ひめゆり平和記念資料館

ひめゆりの塔の写真
撮影:筆者

「ひめゆり学徒隊」、沖縄戦で急遽戦場に向かわされた当時15歳から19歳の女学生の集団のことを指します。女子生徒222名と引率教師18名の計240名からなる集団が、戦地へ看護要員として派遣されました。

それまでは現代の学生のように充実した学校生活を送っていた女子生徒達が、突然戦地に向かい過酷な環境で自身より遥かに背丈のある兵士達の世話をすることになります。ろくに麻酔が効かない中で暴れまわる身体を抑えて手足の切断や蟲が湧いた傷口の手当、尿便や食事といった世話を命の危険と隣り合わせの状況下で求められるのです。

最終的に学徒隊のメンバーは砲弾の被害や自決により半数以上が命を落とすことになります。また生き残った人達も「自身だけが生き残ってしまった」「友人を見捨ててきた罪悪感」「記憶に残る負傷者の姿達」「またあの惨劇が繰り返されないかという恐怖」と苦しみ続けています。

ひめゆり平和記念資料館の敷地内には、実際に沖縄陸軍病院第三外科として使用されていた壕跡地があります。そこを覗くだけで、少女たちが当時どれほど劣悪な環境に置かれていたのかが分かるでしょう。

2021年にリニューアルされたばかりの資料館では当時の洞窟内を再現したジオラマや、実際に使われていた物資などの展示物を見ることができます。また、壁にかけられた犠牲者達の遺影や証言本、証言ビデオは、出来事の詳細や生徒たちの心情がダイレクトに伝わってくるでしょう。

筆者
筆者

個人的には、犠牲者の証言本と証言ビデオは必見だと思います。当事者が赤裸々に、ぼやかすことなく話す戦争の実態は、確かにショックや衝撃を受けます。それでも、平和な時代に生きている私たちだからこそ知るべき過去だと思いました。

【営業時間】9:00~17:25(入館は17:00まで)
【休館日】年中無休
【入館料】大人:450円 高校生:250円 小中学生:600円 小人:150円
※20名以上の団体になると割引有り
【住所】〒901-0344 沖縄県糸満市字伊原671-1
【アクセス】車で空港から約30~40分、バス停ひめゆりの塔前で下車
【電話番号】098-997-2100
公式HP

佐喜眞美術館

佐喜眞美術館の屋上の写真
撮影:筆者

佐喜眞美術館は1994年に開館された『人間と戦争』をテーマの1つにコレクションしている美術館です。

メイン展示物は丸木位里・俊の描いた「沖縄戦の図」です。丸木夫妻といえば「原爆の図」や「南京大虐殺の図」で知られている有名な日本画家ですね。1984年に制作されたそれは4×8.5mにもなる大きさで、展示室の壁一面に広がる絵は圧倒的な迫力です。何年もかけて沖縄戦を学んだうえで描かれた風景や人々の表情からは、美化されていない戦争の悲惨さ、残酷さを感じます。

また、沖縄戦の図と向かい合う反対側の壁一面には生き残った体験者達が1人1人写された写真が多く貼られています。あの過酷な3ヵ月、そしてその後の沖縄を生き抜いた人達の笑顔や泣き顔といった様々な表情からは何か感じるものがあるでしょう。

そして佐喜眞美術館は屋上も見どころの一つです。白で統一された6段と23段の階段を上れば、高い位置から在日米軍の普天間飛行場を一望することができます。そして沖縄戦の戦没者を追悼する日に定めている6月23日の慰霊の日には、窓枠に綺麗に夕日がはまるように設計されており毎年多くの人がこれを見ようと駆け付けます。

沖縄戦とその犠牲者を悼む展示物に建物の設計、しかしそこから見えるのはかつての敵国であった米軍基地。この美術館自体が、残酷な過去がしこりに残りながらも美しく発展し続ける沖縄の歪さを表しているのかもしれませんt。

筆者
筆者

個人的には、写真に写る体験者達それぞれの表情が感慨深かったです。涙を流す人も居れば怒りの表情を見せる人、中には穏やかに落ち着いた表情の人も居ます。「過酷」「悲惨」なんて言葉では表せられない当時を生き抜いた人達は、どんな気持ちでこの数十年を過ごしていたのか、思わず暫く考え込んでしまいました。

【営業時間】9:30~17:00
【休館日】毎週火曜日・旧盆・年末年始
【入館料】大人:800円 大学生/シルバー(70歳以上):700円 中高生:600円 小人:300円
※20名以上の団体になると割引有り
【住所】〒901-2204 沖縄県宜野湾市上原358
【アクセス】バス停上原から徒歩5分
【電話番号】098-893-5737
公式HP

沖縄県平和記念公園

歴代総理大臣を始めとする各著名人も度々訪れる平和記念公園、いくつかの施設から成る公園ですが特に注目して欲しいのが「平和の礎」「沖縄平和記念資料館」の二つです。

軍人民間人関係なく24万人余りの沖縄戦没者全ての氏名が刻まれているのがこの平和の礎です。ここで言う戦没者は3ヵ月間の地上戦には限定せず、海外への出征や疎開途中による犠牲者、原爆被害者までも刻銘されています。国籍や敵味方関係なく刻銘されているため、連日多くの遺族や団体が訪れては手を合わせ、想いや祈りを捧げています。

そして平和記念資料館では、関係資料だけでなく実際に沖縄戦を体験した145人の証言文、そして約500人による証言映像が展示されています。第3者を介することなく知ることができる当事者たちの声は、聴いているだけで胸を痛めることもあるでしょう。しかし身をもって「戦争とは何か」を知ることは、平和に対する大きな理解に繋がるはずです。

筆者
筆者

筆者自身も祖父母が戦争経験者で、過去に祖母の妹の名前へ手を合わせに行ったことがあります。当時の尊い人々へ祈りを捧げる、大切にしていきたい時間と場所だと感じました。

【営業時間】6:00~22:00(公園)9:00~17:00(資料館)
【休館日】年中無休(公園)12月29日~1月3日(資料館)
【入館料(資料館観覧料)】大人:300円 小人:150円
※20名以上の団体になると割引有り
【住所】〒901-0333 沖縄県糸満市字摩文仁444番地
【アクセス】バス停平和祈念堂入口で下車
【電話番号】098-997-2765
公式HP

まとめ

この記事では沖縄戦を学ぶことができる観光施設3選をご紹介していきました。

軍人だけでなく赤ん坊から老人まで全ての民間人をも巻き込んだ沖縄戦は、多くの人達の命を奪い、生き残った人達にも心身共に大きな後遺症を残しました。酷い空腹感から虫や自分の尿便を口に含んだり、開いたお腹からこぼれていく内臓を自ら必死に拾い戻したり、平和な今では想像出来ない光景ばかりが広がっていた沖縄戦。遥か昔のことのように感じますが、実は終戦から80年も経っていません。

今がどれだけ平和だからと言ってもあくまで他人事ではなく、また繰り返されないとは言い切れないのです。沖縄戦の体験者達は、知ることが平和に繋がると信じています。特に幼い子供や若い世代にとっては、それを学べる場が年々遠のいており、戦争が身近なことだと感じることが難しいでしょう。

ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしつつ、沖縄戦について学んでみてください。

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